2021.04.28
外歯瘻とは
外歯瘻(がいしろう)とは、歯性の化膿性炎症が限局化し膿瘍を形成し、自然治癒として自壊すると膿汁を排出する瘻孔を形成するものである。この瘻管が歯瘻で口腔外(顔面皮膚)に形成されたものをいう。
外歯瘻は、皮下膿瘍が自壊すると形成されるので皮下膿瘍は速やかに切開、排膿する。また、皮膚面に瘢痕を伴った陥凹を形成し、周期的に膿汁を排出するので、原病巣を含めて切除し瘢痕修正する。
wikipediaによると、このような説明になるようです。
簡単に説明すると、歯の根元が化膿して頬や顎が腫れて、
血の混じった膿が出てくる病気、と言えるでしょうか。
犬の外歯瘻
犬でも猫でも、外歯瘻は起こります。
これは、左頬に皮下膿瘍ができたワンちゃんの写真です。
オレンジで囲ったところを見てください。赤黒く腫れているのがわかります。
これがさらに悪化すると、自壊(じかい)と言って、破れて中から
血の混じった膿が出てきます。
これは同じワンちゃんです。
オレンジの矢印の先をみてください。
皮膚に穴が開いているのが確認できます。
破れて穴が開いて、血混じりの膿が出てきたのです。
外歯瘻の診断
目の下が赤黒く腫れているだけでは、
外歯瘻とは決めつけられません。
歯とは関係のない皮膚炎や皮膚の腫瘍なども考えられます。
診断のためには、歯の化膿性炎症の存在と、
皮膚にそれが繋がっていることを見つける必要があります。
CT検査での外歯瘻の診断
例えば、私たちの病院では、歯や歯槽骨(しそうこつ)の状態をみるのに、
CT検査を行う場合があります。
先ほどのワンちゃんの、実際のCT画像をみてみましょう。
これは、皮膚が腫れていた直下の顔の断面です。
左右を見比べてみてください。
オレンジの丸で囲ったとろこを見てください。
右側の同じところと比べると、骨が溶けているのが分かります。
おそらく、歯の根っこで感染を起こしていて、
歯槽骨(歯を支える骨)が溶けたのだと推察できます。
同じ歯のもう一つの根っこでも、骨が溶けていることが分かりました。
オレンジの矢印の先です。
歯の根っこの周りがきれいに溶けていて、
そこから外へ向かうように骨が管状に溶けています。
実際にこの骨の溶けているところから、
頬に開いた穴まで繋がっていることが確認できました。
ちなみに、3Dにしてみました。
頭の骨だけを映しています。
大小の矢印で示したところに、
2か所の骨に開いた穴が確認できます。
外歯瘻の治療
治療のためには、問題を起こしている歯を
抜歯することでしょう。
膿瘍を切り取っても、瘻管を取り除いても、
外歯瘻は治りません。
原因が歯の根っこの化膿性炎症であるならば、
その歯を治療する必要があります。
ちなみに、ご紹介したワンちゃんは、問題の歯を抜いて、
皮膚をきれいにして縫合しました。