2020.10.07

過去の診察を振り返って その1

すべての診断が、順調ではありません。

このネコちゃんは、何年か前に診察しました。

当時、CT検査を習い始めたばかりで、CT画像からどれだけ診断に近付けるかに固執してすぎていたのかもしれません。

 

健康診断で、お腹の中に腫瘤複数見つかったのです。

 

そこで、CT検査をしましょうとなりました。

 

これがその時のCT画像です。

リンパ節 FIP

これは、お腹の断面です。

わかりやすくすると、

リンパ節 FIP ペイント

オレンジで囲ったところが、2cm以上に腫れています。

 

これは、リンパ節です。

それは間違いありません。

 

ネコのお腹の中のリンパ節が腫れている場合、複数腫れている場合、「リンパ腫」というガンを疑います。

 

そこで、針を刺して検査することにしました。

すると結果は、「反応性リンパ節」と返ってきました。

 

当然、「リンパ節」という結果を予想していただけに、悩みました。

 

この時、CT検査に詳しい先生に会う機会があったので、CT画像を見てもらうことにしたのです。

 

その先生も「これはリンパ腫に違いないよ。」と根拠や理由も含めて説明を受けました。

CT初心者の私は、「画像上リンパ腫」という診断に傾倒してしまったのです。

 

針での検査は100%ではありません。

また、リンパ腫であった場合、早くに抗がん剤の投与を始めないと、命の危険性があります。

 

そんなこともあり、開腹して、リンパ節ごと取ってくることにしました。

 

しかし、結果は「反応性リンパ節」でした。

 

ガンじゃなくて良かった。ものの・・・、

 

 

あれから何百というCT検査を行いました。

CTに関するいろんな本も読み漁りました。

 

CT検査はあくまで画像検査なので、確定診断にいたらないことが多く、他の検査と合わせて診断していく必要があります。

 

だから、CT検査の結果だけで、「この病気だ」とは言わないようにしています。

「この病気に違いない」と心で思っても、「この病気の可能性が高いですが、他にもこんな病気の可能性も・・・」と飼い主さんには説明します。

 

そして、確定診断がついてそれが予想通りだと心の中でガッツポーズをしています。