2020.10.25
肺の異常
「肺」は、レントゲン写真でも診断できることは多いし、手軽に撮影できます。
CTでは肺の様子を、レントゲンよりもより詳しく知ることができます。
特に、転移など肺癌の確認にはとても有用です。
ただ、CT検査のためには全身麻酔が必要であり、肺に疾患を持つ動物の場合、麻酔のリスクが高い場合も多く、CT検査したいけど、できないなんてことも多いのが現状です。
例えば、これはワンちゃんの胸のCT画像で、肺の様子を見ています。
肺は、「葉(よう)」と言って、いくつかの房に分かれています。
緑で囲った「葉」は、問題なさそうです。
しかし、オレンジで囲った「葉」には異常があります。
「肺」は、通常空気をたくさん含んでいます。
CTで、空気は黒く見えるので、緑で囲ったところは、空気を含んでいて、「黒い」ので問題ないとなります。
オレンジのところは、白くなっていて、黒い丸のようなものが点々としています。
白く見えるのは、液体を含んでいるためです。
黒い丸は、「気管支」という空気が通る管です。
オレンジの肺は、空気ではなく液体で白くなっているということになります。
CTでは、この液体が何かまではわかりません。
ただ、ちなみに、このワンちゃんは交通事故にあったので、液体は血液だと予想されます。
つまり、肺の出血でしょう。