2022.12.28
京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 猫の膵炎の症状と原因、治療について解説させていただきます。
こんなお悩みはありませんか?
・下痢、血便をしている
・吐く
・震える
・食欲がない、元気がない
・触ると嫌がる
このような場合、「膵炎」の可能性があります。
膵炎(すいえん)とは
膵炎は、膵臓内の消化酵素が活性化されたせいで自己消化が始まり、「おなかのやけど」と言われるほどの強い炎症が起きる病気です。腹痛を伴い、上記のような症状が一般的ですが、症状がわかりにくい子もいます。猫では稀な病気と考えられていましたが、最近は検査や診断技術の発展によって診断されることが増えてきました。三臓器炎(=膵炎+胆管炎+炎症性腸疾患)を発症したり、重症化すると多臓器不全など重篤な合併症を引き起こしたり、慢性膵炎の場合は膵臓が弱って糖尿病を引き起こしたりすることがあるので注意が必要です。
膵炎が起こる原因
実はまだはっきりと解明されていませんが、以下のような原因が考えられています。
・遺伝
・ストレス
・ウイルスなどの感染
・交通事故などの外傷
・腸炎など
膵炎を適切に治療するためのポイント
膵炎を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。
正しく膵炎の診断ができるか
猫の膵炎の診断は簡単ではありません。膵炎を疑う場合、まずよく似た症状の病気(=腸閉塞や胆管炎など)との鑑別をします。血液検査は大切な検査ですが、これだけで完全に膵炎を診断することはできないため、血液検査のほかに超音波検査やレントゲン検査、状態によってはCT検査などの結果、総合的に診断する必要があります。
膵炎の治療において豊富な経験を持っているか
重症度や合併症の有無などによって、診断や治療の難易度も大きく変わってきます。とくに重症化した膵炎は命にかかわる合併症を起こすことがあるため、治療の実績や経験が重要です。
適切な治療への移行
膵炎にはまだ標準化された特効薬がありません。様々な合併症に注意しながら、まず十分な支持療法をして膵臓を安静化する必要があります。適切な輸液をし、鎮痛剤や吐き気止め、粘膜保護剤などを投与し、栄養管理や消炎治療を行います。病院によって対応できる範囲が限られることもありますが、その場合でも、適切な病院への紹介を行ってくれるかどうかが大切です。
ダクタリ動物病院京都医療センターでの急性膵炎治療について
膵炎が重症の場合は入院し、脂肪肝や三臓器炎、多臓器不全や播種性血管内凝固(=全身に血栓ができ血管が詰まる病気)などの合併症に注意しながら集中治療や精密検査を行います。とくに猫は絶食状態が数日続くだけで脂肪肝になり肝機能障害を起こすことがあるため、なるべく早めにカテーテルでの流動食給餌や静脈栄養点滴などの栄養管理を行います。
膵炎が疑わしい場合は、まず診察に来てご相談ください。