2023.05.15
京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。
ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、猫の脳腫瘍の症状と原因、治療について解説させていただきます。
こんなお悩みはありませんか?
・発作があった
・意識がおかしい
・顔が傾いている(首を傾げたような)
・真っ直ぐに歩けない
・元気や食欲がない
・目が揺れている
・左右の瞳の大きさが違う
このような場合「脳腫瘍」の可能性があります。
脳腫瘍(のうしゅよう)とは
脳腫瘍とは、頭蓋骨の中にできる腫瘍のことです。原発と言って脳に腫瘍が発生するものと、体の他の場所にできた腫瘍(悪性)が脳に転移するものとがあります。腫瘍は脳のどの部位にできるかによって、上記のように引き起こされる症状は様々です。診断のためにはMRI検査や脳脊髄液検査が必要不可欠ですが、腫瘍の種類まで確定することは難しいことが多いです。
脳腫瘍が起こる原因
脳腫瘍に限らず腫瘍が起こる原因は、はっきりとはわかっていません。遺伝的な要因があるかもしれません、なんらかのウイルスが関係しているかもしれません、なんらかの発がん性物質がいけないのかもしれません、これから解明が進むのかもしれません。
脳腫瘍を適切に治療するためのポイント
脳腫瘍を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。
①正しく脳腫瘍の可能性を指摘できるか
前述にあるように、脳腫瘍の症状は本当に様々で、程度もいろいろです。そのような症状から、脳腫瘍の可能性を念頭に診断を進めることができるのか、そこから診断の要であるMRI検査を提示できるのか、そこが問題になります。脳腫瘍であれば、多くは予後が悪いため、早期の診断が重要になるのです。
②脳腫瘍の確定診断に至ることができるか
脳腫瘍と診断するためには、MRI検査と脳関髄液検査を行う必要があります。また、転移性であることも考慮して、全身的な精査も求められます。腫瘍であれば、本来確定診断のためには、腫瘍の一部または全部を採取する生検が必要です。しかし、脳腫瘍の場合、生検を行うことが難しい場合がほとんどと言えます。確定診断に至ることが難しい場合、手に入る限りの情報でどこまで確定診断に近づくことができるのかが大切になります。
③適切な治療への移行
脳腫瘍の治療は、外科手術もしくは化学療法(抗がん剤投与)、放射線治療のどれかを選択することになります。腫瘍の種類によって適応が変わりますが、外科手術は難易度とリスクが大変高いものとなります。放射線治療は通院や頻回の麻酔のリスクを考える必要があります。猫の脳腫瘍では、リンパ腫であれば化学療法が効果を示すことがあります。転移性の脳腫瘍であれば、その原発巣(元々の腫瘍の発生場所)の治療が主になることもあります。
ダクタリ動物病院 京都医療センターでの脳腫瘍について
脳腫瘍は造影CT検査で診断できるケースもありますが、MRI検査が第1選択となるでしょう。当院では、MRI検査や放射線治療は実施していませんが、脳腫瘍を疑う場合には、速やかにMRI検査を提示し、専門施設への紹介を行います。また、化学療法や積極的な治療を希望されない場合のケアもお手伝いさせて頂きます。