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2023.01.05

犬の慢性膵炎の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の慢性膵炎の症状と原因、治療について解説させていただきます。

こんなお悩みはありませんか?

・下痢をしている

・吐く

・震える

・食欲がない、元気がない

・体重が減った

・背中を丸めたり、祈りポーズ(前足を床につけお尻をあげる)をしたりしている

 

このような場合、「慢性膵炎」の可能性があります。

 

慢性膵炎(まんせいすいえん)とは

慢性膵炎は、膵臓内の消化酵素が活性化されたために自己消化が始まり、炎症が長期間続くことで線維化(=正常組織が破壊され硬くなること)や細胞の委縮が起きる病気で、残念ながら元に戻ることはないと考えられています。上記のような症状が出ることもありますが、はっきりとした症状がないこともあります。進行すると糖尿病を併発したり、膵臓の機能が低下し消化酵素を分泌できなくなるため、膵外分泌不全症という病気になったりすることもあります。

 

慢性膵炎が起こる原因

実はまだはっきりと解明されていませんが、急性膵炎を繰り返すと慢性膵炎に移行することがあります。膵炎には多くのリスク因子があることが分かっています。

 

食生活や肥満

過食による肥満、高脂肪食、ごみ箱漁りや拾い食いなどが膵炎のリスクを高めます。

 

抗がん剤やカルシウム製剤、臭化カリウムなどが膵炎のリスクを上げます。

 

犬種

ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリアなどのテリア種、トイ種、キャバリア・K・C・スパニエル、コッカー・スパニエルなどは膵炎になりやすいです。

 

性別

男の子より女の子の方が膵炎になりやすいようです。

 

他の病気

ホルモン疾患(=糖尿病・副腎皮質機能亢進症および低下症・甲状腺機能低下症)、高脂血症、肝臓胆嚢疾患、高カルシウム血症、神経疾患など、様々な病気が膵炎のきっかけになりえます。

 

手術歴

開腹手術をしたことのある子は膵炎の発症リスクが上がると言われています。

 

慢性膵炎を適切に治療するためのポイント

慢性膵炎を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。

 

正しく慢性膵炎の診断ができるか

慢性膵炎を疑う場合、まずよく似た症状の病気(=腸閉塞や胆管炎など)との鑑別をします。血液検査で膵臓の数値が高いからといって必ずしも膵炎とは限らず、また急性膵炎と違って目立つ症状が出ない場合もあるので、血液検査のほかに超音波検査やレントゲン検査、状態によってはCT検査などの結果を基に、総合的に診断する必要があります。

 

慢性膵炎の治療において豊富な経験を持っているか

様々な原因が考えられるため、診断や治療の難易度も大きく変わってきます。とくに重症化した膵炎は命にかかわる合併症を起こすことがあるため、治療の実績や経験が重要です。

 

適切な治療への移行

慢性膵炎にはまだ標準化された特効薬がありません。様々な合併症や基礎疾患(=膵炎のきっかけになった病気)が隠れていないか注意しながら、まず膵臓を安静化する必要があります。適切な輸液をし、鎮痛剤や吐き気止めを投与し、栄養管理や消炎治療を行います。病院によって対応できる範囲が限られることもありますが、その場合でも適切な病院への紹介を行ってくれるかどうかが大切です。

 

ダクタリ動物病院京都医療センターでの慢性膵炎治療について

慢性膵炎の原因となるような基礎疾患が見つかった場合には、同時進行で治療します。糖尿病や膵外分泌不全症などを併発している場合は、その検査や治療も必要になります。また、長期間の絶食は胃腸を弱らせるため、食欲改善した子には低脂肪食を、難しい子にはカテーテルでの流動食給餌や静脈栄養点滴などの栄養管理を行います。

慢性膵炎が疑わしい場合は、まず診察に来てご相談ください。