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2022.11.15

犬の急性膵炎の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の急性膵炎の症状と原因、治療について解説させていただきます。

こんなお悩みはありませんか?

・下痢、血便をしている
・吐く
・震える
・食欲がない、元気がない
・背中を丸めたり、祈りポーズ(前足を床につけお尻をあげる)をしている

このような場合、「急性膵炎」の可能性があります。

 

急性膵炎(きゅうせいすいえん)とは

急性膵炎は、膵臓内の消化酵素が活性化されたせいで自己消化が始まり、「おなかのやけど」と言われるほどの強い炎症が起きる病気です。激しい腹痛を伴い、上記のような症状が出るのが一般的ですが、重症化するとあっという間に全身に炎症が広がり、多臓器不全など重篤な合併症を引き起こすことがあります。また、急性膵炎は他の病気がきっかけで二次的に起こることもあるため、注意が必要です。

 

急性膵炎が起こる原因

実はまだはっきりと解明されていませんが、多くのリスク因子があることが分かっています。

 

食生活や肥満

過食による肥満、高脂肪食、ごみ箱漁りや拾い食いなどが膵炎のリスクを高めます。

 

抗がん剤やカルシウム製剤、臭化カリウムなどが膵炎のリスクを上げます。

 

犬種

ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャーテリアなどのテリア種、トイ種、キャバリア・K・C・スパニエル、コッカー・スパニエルなどは膵炎になりやすいとされています。

 

性別

男の子より女の子の方が膵炎になりやすいようです。

 

他の病気

ホルモン疾患(=糖尿病・副腎皮質機能亢進症および低下症・甲状腺機能低下症)、高脂血症、肝臓胆嚢疾患、高カルシウム血症、神経疾患など、様々な病気が膵炎のきっかけになります。

 

手術歴

手術をしたことのある子は膵炎の発症リスクが上がります。

 

急性膵炎を適切に治療するためのポイント

急性膵炎を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。

 

正しく急性膵炎の診断ができるか

急性膵炎を疑う場合、まずよく似た症状の病気(=腸閉塞など)との鑑別をします。また、血液検査で膵臓の数値が高いからといって必ずしも膵炎とは限らないため、血液検査のほかに超音波検査やレントゲン検査、状態によってはCT検査などの結果から、総合的に診断する必要があります。

 

急性膵炎の治療において豊富な経験を持っているか

様々な原因が考えられるため、診断や治療の難易度も大きく変わってきます。とくに重症化した膵炎は命にかかわる合併症を起こすことがあるため、治療の実績や経験が重要です。

 

適切な治療への移行

急性膵炎にはまだ標準化された特効薬がありません。様々な合併症や基礎疾患(=膵炎のきっかけになった病気)が隠れていないか注意しながら、まず膵臓を安静化する必要があります。適切な輸液をし、鎮痛剤や吐き気止めを投与し、栄養管理や消炎治療を行います。病院によって対応できる範囲が限られることもありますが、急性膵炎では早期の治療開始が重症化を防ぐ可能性があると考えられるため、その場合でも、適切な病院への紹介を行ってくれるかどうかが大切です。

 

ダクタリ動物病院京都医療センターでの急性膵炎治療について

急性膵炎が重症の場合は入院し、多臓器不全や播種性血管内凝固(=全身に血栓ができ血管が詰まる病気)などの合併症に注意しながら集中治療や精密検査を行います。基礎疾患が見つかった場合には、同時進行で治療します。現段階では急性膵炎の標準的治療は確立されていませんが、効果が見込める新しい治療薬は存在するため、当院では積極的に使用しています。また、長期間の絶食は胃腸を弱らせるため、食欲改善した子には低脂肪食を、難しい子にはカテーテルでの流動食給餌や静脈栄養点滴などの栄養管理を行います。

急性膵炎が疑わしい場合は、まず診察に来てご相談ください。