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2021.04.18

外耳炎はそのままにしておくと、良くないかも その2

外耳炎にも、軽度から重度まで

外耳炎にも、症状が軽いものから、重いものまで様々です。

普段の診察では、耳鏡(じきょう)と呼ばれる器具を使って、耳の中を覗いたり、場合によってはレントゲン検査をすることもあります。

 

耳鏡で覗いても、耳道が腫れていたりすると奥の方まで見えない場合も少なくありません。

 

そのような場合に、CT検査の有用性を考えます。

 

外耳炎に対して、CT検査

外耳炎に対して、CT検査が必ず必要であるわけではありません。

外耳炎でも、かなり重度な場合、かなり慢性化(長期化)している場合、

中耳炎等を疑う場合、腫瘍を疑う場合、神経症状がある場合、CT検査を考える必要がありそうです。

 

CT検査で「耳の状態」はどう見えるのか

それでは、実際のCT画像をみてみましょう。

 

耳道が腫れていて、鼓室にも問題あり

最初のワンちゃんは、慢性的な外耳炎で耳道が腫れていて、

片方の鼓室(耳の奥の骨に囲まれた空間、中耳の主体)にも異常がありました。

耳道の肥厚 鼓室胞内までも

これは、そのワンちゃんの頭の断面です。

このCT画像で白く見えている部分は、骨です。

頭蓋骨が白く見えていて、その中が脳となります。

 

さて、わかり易いように、書き込みをしてみました。

耳道の肥厚 鼓室内までも ペイント

まず、2つの矢印で示したところを見ていきましょう。

矢印で示した先にある、黒い管状のものが、耳道、耳の中になります。

黒くみえるのは、空気を示しています。

 

オレンジの矢印の方は、奥の方までつながっていますが、

赤の方は、途中で途切れています。

しかも、耳道壁(耳の管の部分)がオレンジに比べると、白っぽく厚くなっています。

これが、いわゆる耳道壁の肥厚(じどうへきのひこう)です。

耳全体が腫れているのです。

 

さらに、その奥の丸で囲ったところが、鼓室になります。

 

オレンジで囲った方は、正常で、中が黒く空気で満たされています。

一方、赤で囲った方は、中がグレーになっていて、どうやら液体で満たされているようです。

中耳炎を疑う画像です。

この液体は、膿かもしれません。

 

耳道の肥厚がひどい

次のワンちゃんを見てみましょう。

耳道の肥厚 ひどい

このワンちゃんは、耳道の肥厚(腫れている状態)がものすごくひどいようです。

 

耳道の肥厚 ひどい ペイント2

オレンジで囲った方は、問題のない耳道です。

耳道の空気は鼓室まで、続いています。

一方、赤の方は、耳道壁がひどく腫れていて、耳道はかろうじて細い管状に見えています。

 

さらに、

耳道の肥厚 ひどい ペイント1

丸で囲った鼓室が、オレンジの方に比べて、赤の方は、液体が溜まっているようです。

そして、赤の矢印の先、特に白くなっているところを見てください。

骨と同じように白くなっています。

これは、石灰化(せっかいか)と言って、耳道壁の肥厚があまりにも慢性化しているため、

一部が骨のように固くなってしまっているのです。

 

このワンちゃんは、手術で耳道を取り除く必要があるかもしれません。

 

耳の診断にCT検査は有用

外耳炎を含めて、耳に問題がある場合に、CT検査は必ずしも必須ではありません。

しかし、中にはCT検査を必要とするワンちゃん、ネコちゃんはいます。

特に、あまりにも慢性化している場合や、手術を検討する段階では、その有用性はあるでしょう。