2021.09.22

健康診断は必要なのか? 腎臓について

健康診断は必要なのか?

答えは、もちろん、「必要です」となります。

 

私たちも毎年健康診断を受けますよね。

余談ですが、

動物病院で働いていると、

業務上、レントゲンを取り扱ったり、ホルマリンを取り扱ったりするため、

年に2回の健康診断が義務付けられているのです。

 

人も40歳を過ぎると、

毎年、人間ドックを受けた方が良いと言われます。

 

ワンちゃんやネコちゃんも

同じようなことが言えるのではないでしょうか。

今回は腎臓について

腎臓模型

健康診断で調べる項目の一つに、

腎臓があります。

 

腎臓は、尿を作り、老廃物を体外に出す働きをする臓器です。

その他にも、血液を作るのに一役買ったり、体の中のいろいろな物質の量を調節したり、

いろいろな働きを行う臓器です。

 

そんな腎臓は悪くなっても、

なかなか初期に発見することが難しい臓器とも言えます。

実際に遭遇するケース

特に猫が多いと感じますが、あまり病院に来られていない場合で、

「食欲が落ちてきていて、3日まえから食べなくなりました。」

調べてみると、腎臓がものすごく悪い状態で、

すぐに入院が必要となり、ケイレン起こしてもおかしくないし、命に関わる状態。

入院の様子

腎臓が悪くなってきていることを、

事前にわかっていれば、ここまでの状態を避けることができたかも・・・。

そんなことを考えることも少なくありません。

健康診断での腎臓の検査

腎臓を評価するために、健康診断では、どのような項目を調べるのでしょうか。

血液検査

  • BUN(尿素窒素)
  • クレアチニン
  • リン
  • 電解質

このような項目を調べます。

ただ、このような数値に異常が出るのは、

腎臓が約70%も悪くなってからだと言われています。

結構悪くならないと、異常値としては確認できないということになります。

しかも、数値に異常値が出たからと言って、何らかの症状があるとは限らないのです。

検査結果

尿検査

腎臓が悪くなると、飲水量が増えて、尿が薄くなる傾向になります。

尿比重を見ることによって、尿が薄くなっているのかを調べることができます。

また、タンパク質が出ているかも重要になります。

血液検査より早期に実施するべきという意見もあります。

尿検査

画像検査

レントゲン検査や超音波検査を行うことで、

腎臓の形や大きさを調べることも有効です。

血液検査ではわからない異常が見つかることもあります。

腎臓の肉腫

これは極端な例ですが、

緑で囲った片方の腎臓に比べて、赤で囲ったもう一方の腎臓の形がおかしくなっています。

このような画像上の異常があっても、

血液検査は正常だったりするのです。

特殊検査

SDMAという検査項目があります。

血液で調べるのですが、従来の血液検査では前述の通り腎臓が70%程度悪くならないと

異常値として検出できません。

しかし、このSDMAは腎臓が約40%悪くなった段階で、

異常値として検出できるのです。

腎臓の異常の早期発見に役立つ検査と言えるでしょう。

腎臓は症状の出る前に

腎臓が悪くなって、いざ症状が出始めると

やたらと水を飲むようになったり、痩せてきたり、よく吐くようになったり、下痢になったり、ケイレンが起こったり、口臭がひどくなったり、いろんなことが起こります。

症状が始まる前に、腎臓の異常を察知しましょう。

早く気付くことで、症状の悪化を遅らせましょう。