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2023.02.28

犬の角膜炎の症状と原因、治療について|京都市西京区のダクタリ動物病院京都医療センター

京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。
ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の角膜炎の症状と原因、治療について解説させていただきます。

こんなお悩みはありませんか?

・白目が赤い

・眼が開けにくい

・涙の量が急に増えた

・眼脂(めやに)が急に出てきた

・眼を気にしている

・眼の表面が黒くなった

 

角膜炎(かくまくえん)とは

角膜は目の表面の上皮、実質、内皮から構成される透明性のある組織です。上皮は主に病原菌の侵入や外傷などに対するバリア機能をもち、実質は線維構造になっており透明性を維持する役割があります。

角膜炎には、角膜への傷による潰瘍性角膜炎(角膜潰瘍)と傷以外の原因となる非潰瘍性角膜炎に大別されます。

角膜潰瘍については別の記事に詳細がありますので、今回は非潰瘍性角膜炎について説明させていただきます。

 

非潰瘍性角膜炎(ひかいようせいかくまくえん)は色素性角膜炎、慢性表層性角膜炎、表層性点状角膜炎があり、それぞれ原因や好発犬種が異なります。

 

色素性角膜炎の原因

角膜にメラニン細胞が浸潤し、角膜上皮内にメラニン色素の沈着が見られる状態をいいます。シーズー、パグなどの短頭種の犬でしばしばみられます。原因としては、内眼角内反、睫毛乱生(しょうもうらんせい)、ドライアイなどが考えられます。

 

慢性表層性角膜炎の原因

明らかな原因としては不明ですが、免疫介在性疾患と考えられており、角膜の血管新生、色素沈着、混濁を特徴とします。ジャーマンシェパード、グレーハウンドなどで多いとされていますが、どんな犬種にも発症します。

 

表層性点状性角膜炎の原因

免疫介在性疾患が疑われている炎症性角膜疾患です。両眼に多発性の点状、円状の灰色の混濁が特徴であり、進行すると炎症部位に色素沈着やミネラル沈着がみられることもあります。ダックスフンドやシェットランドシープドッグで多いといわれていますが、どんな犬種でも発症します。

 

診断治療のポイント

フルオルセンイ染色

水溶性の黄緑色の色素で眼の表面を染色します。潰瘍部位は緑色の蛍光色となり病変部の範囲や程度を判断することに使用します。また、涙の質や溜まり具合などをみたりすることにも使用します。

シルマー涙液検査

角膜表面にある涙の量を測定することで、ドライアイの鑑別に使用します。

スリットランプ検査

フルオルセンイ染色の観察、眼瞼の異常の有無、角膜潰瘍の深さなどをみるために使用します。

 

ダクタリ動物病院京都医療センターでの角膜炎の治療について

炎症性角膜疾患が疑われる症例が来院した場合、眼の精査を行うとともに必要であれば血液検査なども行っていきます。

眼の検査としては、フルオルセンイ染色により角膜潰瘍の有無、範囲をみていきます。また、ドライアイがないかどうかみるためシルマー涙液検査、眼の内部への炎症がないかの眼圧検査などを一緒に行っていきます。

非潰瘍性角膜炎と診断した場合、自己免疫疾患であると考えられているためステロイド点眼やシクロスポリン眼軟膏などを使用します。また、長期的なステロイド点眼が必要な場合には、角膜潰瘍の悪化やミネラル沈着などが生じていないか定期的なモニタリングを行っていきます。