2020.11.10
避妊手術、去勢手術をいつするのが良いのか その4
肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)という腫瘍があります。
基本的には、悪性で、つまりは「がん」で、命にかかわることも多い。
皮膚にできたり、肝臓や脾臓にできたり、いろいろです。
これが、犬の皮膚にできた肥満細胞腫です。
肥満細胞腫の話を診察ですると、「うちのこが、太っているからですか?」っていう質問がよくあります。
はっきり言っておきますが、肥満細胞腫の肥満は、体の肥満とは関係ありません。
元々、肥満細胞という細胞があって、この細胞が丸く膨れているように見えることから、名前がついているのです。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、
この肥満細胞腫の発生が、避妊の有無に関係しているという報告があるのです。
その報告によると、364頭の雌のワンちゃんを調べたところ、
避妊手術をしていないワンちゃんでは肥満細胞腫は見られず、
つまり0%だったのに避妊手術を行っているワンちゃんでは、肥満細胞腫が見られた(約3%)そうです。
もしこの論文の通りだとすると、避妊手術をしなければ肥満細胞腫にはならないと思えてしまいます。
ただし、、この報告だけでこのような結果だと決めるのはかなり危険です。
でも、避妊手術と肥満細胞腫を含めた腫瘍との間には、何らかの関係性があるのではないでしょうか。
新たな報告に期待します。