2020.10.11

CT検査の造影剤

CT検査を行う際には、造影剤というものを血管から投与することがほとんどです。

 

人では造影剤を使うと、しんどくなったみたいな話を耳にしますが、ワンちゃんやネコちゃんではどうのでしょうか?

 

実際はよくわかりません。

そもそも全身麻酔をかけてCT検査を行うので、例え検査後にしんどくなったからと言って、造影剤が原因なのか、全身麻酔が原因なのか、わかりません。

 

私が経験した範囲では、他の全身麻酔をかけるものと比べて、造影剤を使用したから特にしんどそうは内容に思います。

 

さて、そもそもなぜ造影剤を使用するのかというと、特にお腹の中の臓器を見えやすくするためです。造影剤がないと、お腹の中の診断はほぼできないと言っても過言ではありません。

プレーン ペイント

例えば、これはお腹の断面で、造影剤を投与する前です。

オレンジの矢印が示しているのが腎臓です。

骨は白く見えますが、他の臓器にコントラストがほとんどありません。

 

ここに造影剤を投与すると・・・

動脈相 ペイント

オレンジ矢印でしめした腎臓が特に「白く」なってわかりやすくなっています。

腎臓の外枠が特に白いですね。

それ以外の臓器も、白っぽくなり濃淡が出ています。

 

造影剤は、投与してからの時間の経過で見え方が変わってきます。

上の画像から、少し時間が経つと・・・

平衡相 ペイント

オレンジ矢印腎臓ですが、外枠が特に白かったところから、全体が白くなっています。

 

さらに時間が経つと・・・

排泄相 ペイント

腎臓の中央が白くなり、外枠の白さはなくなってきています。

 

このように、造影剤は臓器を際立つので、各臓器の診断がしやすくなります。

また、時間の変化も診断には重要になります。