2023.04.07
京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。
ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、猫の鼻腔内腫瘍の症状と原因、治療について解説させていただきます。
こんなお悩みはありませんか?
・くしゃみをする
・鼻血が出る
・鼻水が出る
・顔が腫れてきた
・目の位置がおかしい
このような場合「鼻腔内腫瘍」の可能性があります。
鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)とは
鼻腔内腫瘍とは、鼻の中に出来る腫瘍全般を指します。特に、猫で鼻の中に腫瘍が出来る場合は、悪性腫瘍(いわゆる「ガン」)のことが多いです。症状は、鼻水やくしゃみから始まり、悪化すると鼻血が出たり、鼻のあたりが腫れて顔が変形してしまいます。鼻腔内腫瘍には、リンパ腫や扁平上皮癌などがあります。診断にはCT検査を行い、生検が必要です。治療は、腫瘍の種類により異なりますが、抗がん剤や放射線治療が必要になります。
鼻腔内腫瘍が起こる原因
鼻腔内腫瘍を始めとした腫瘍が起こる原因は、はっきりとはわかっていません。ウイルス性鼻炎など、慢性鼻炎が刺激になるかもしれませんが、原因は不明です。
鼻腔内腫瘍を治療するためのポイント
鼻腔内腫瘍を治療するためのポイントは以下の3点です。
①CT検査と生検の実施
鼻腔内腫瘍を疑う場合には、「CT検査」が必須です。レントゲン検査だけでは不十分です。必ずCT検査を行った上で、鼻の中の組織を採取する「生検」を行う必要があります。CT検査と生検を行うには全身麻酔が必要ですが、必ず実施するべきです。生検には、いわゆるストロー生検と言ってストローを用いる方法や、生検鉗子を用いる方法等がありますが、どの方法にしてもしっかり組織をとることが最も重要です。
②腫瘍以外の可能性を正しく除外できるか
鼻腔内腫瘍を疑う場合でも、腫瘍以外の可能性を考える必要があります。鼻腔内に真菌(カビ)が感染しても、腫瘍と同じような症状を起こすことがあります。鼻腔内腫瘍を疑う場合でも、真菌感染や鼻腔内異物、慢性鼻炎などをしっかりと除外することがとても重要になります。上記のように診断には、CT検査と生検が必須ですが、同時に培養検査で感染を除外し、歯の状態をみるなど、腫瘍以外の可能性を忘れずに診断することが大事なのです。
③適切な治療への移行
鼻腔内腫瘍は、その腫瘍の種類によって治療法が異なります。抗がん剤を選択するべき腫瘍もあれば、放射線療法を選択するべき腫瘍もあります。診断が付いた際に、治療の適応をきっちり伝えて、期待できる治療効果、副作用やリスク、金額等を的確に理解してもらうことが大切です。残念ながら鼻腔内腫瘍はそのほとんどが悪性であり、どの治療を選択しても完治は難しいと言えます。それ故に、選択した治療法の情報を共有する必要があります。
ダクタリ動物病院 京都医療センターでの鼻腔内腫瘍治療について
鼻腔内腫瘍を疑う場合、CT検査と生検、培養検査を提案します。検査は日帰りで実施します。CT検査結果は、当日に説明することができます。生検と培養検査に関しては、検査機関に提出する必要があるため、後日説明となります。放射線治療は行っていませんが、その他治療については、実施が可能です。鼻腔内腫瘍を疑う症状がある場合、早期に診察を受けることをお勧めします。