2023.01.09
京都市西京区、右京区、南区、中京区、向日市、長岡京市、亀岡市 の皆さんこんにちは。ダクタリ動物病院京都医療センターの院長森です。
今回は、 犬の乳腺腫瘍の症状と原因、治療について解説させていただきます。
こんなお悩みはありませんか?
・お腹にしこりがある
・乳首の下にしこりがある
・乳首の周りが硬くなっている
・避妊手術をしていなくて、高齢になってきた
このような場合、「乳腺腫瘍」の可能性があります。
乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とは
乳腺腫瘍とは、乳腺にできる腫瘍全般を指します。乳腺に腫瘍ができた場合、猫ではそのほとんどが悪性、すなわち「がん」だと言われています。それに対して、犬では、良性と悪性が半分半分とされています。初回発情までに避妊手術を行った場合、将来的に乳腺腫瘍になる可能性はほとんどなくなりますが、それを過ぎて避妊手術を行った場合、もしくは避妊手術を行っていない場合には、乳腺腫瘍になる可能性があります。乳腺腫瘍と診断されると、治療は外科手術になります。他の腫瘍と同様で、早期発見、早期治療が重要です。
乳腺腫瘍が起こる原因
早期に卵巣の摘出を行うことで、乳腺腫瘍になる確率が低下すると言われていることから、卵巣からの分泌されるホルモンの影響があると考えられています。しかし、卵巣摘出を行なっても、乳腺腫瘍になる確率が「ゼロ」になるわけではないため、ホルモン以外の影響もあると思われます。
乳腺腫瘍を適切に治療するためのポイント
乳腺腫瘍を適切に治療するためのポイントは以下の3点です。
①正しく乳腺腫瘍の診断ができるか
乳腺腫瘍がある程度の大きさになっていれば、お腹のしこりとして目で見てわかるようになります。早期に発見するためには、触診が重要になります。ただ、乳腺付近を触るだけでは不十分で、「乳腺腫瘍ができていないだろうか」ということを念頭に、丁寧に触診する必要があります。ただし、発情などに伴い乳腺が張っていると、触診が難しい場合もあります。そのため定期的な触診が大切です。
②乳腺腫瘍治療において豊富な経験を持っているか
前述した診断の際の触診にも、経験がものを言う場面があります。ワクチン接種や健康診断で動物病院を訪れた時にも、しっかり触診することが重要でしょう。また、乳腺あたりにできている腫瘤が、全て乳腺腫瘍ではないことも忘れてはいけません。乳腺腫瘍ではない腫瘍が、出来ることもあるのです。そのような知識も、治療にあたっては必須と言えます。
③適切な治療への移行
乳腺腫瘍の治療は、外科手術を行い腫瘍を摘出することです。まず、手術を検討することになります。比較的小さい腫瘍が「1個だけ」といった場面と、「複数の腫瘍ができている」「巨大な腫瘍ができている」そんな場面で、手術の難易度は大きくかわってしまいます。乳腺腫瘍の状態によって、手術を含めた治療計画を正しく考えることが重要です。
ダクタリ動物病院 京都医療センターでの乳腺腫瘍治療について
乳腺腫瘍の場合、外科手術を検討する必要があります。当院では、乳腺腫瘍を疑った場合、早期の手術をお勧めしています。経過を見ていても通常良くなることはなく、腫瘍が大きくなり治療が大変になります。もちろん、手術ができない状態であれば、状態を考慮して手術以外の治療を提案することもあります。また、当院では定期的な健康診断も推奨しています。その際に、乳腺腫瘍が発見されることもあります。ご心配な方は、まず診察でご相談ください。